オーディオの時代とTVCM (前)

♪ テクニ〜クス〜 ♪・・というフレーズを聞いて懐かしさを憶えられる方ならきっとそれなりのご年齢だろう。
平成になってからも謳われていたのかも知れないが、ここ十数年来めっきりTVの視聴時間が短くなった自分
にはまだ景気の良かった昭和の頃の華やかなTVCMのフレーズのひとつでしかない。

第一次オーディオブームというものが実際いつの頃を指すのかよくは知らない、思うに1960年代後半頃なのであ
ろうか・・三種の神器と謳われたテレビ、冷蔵庫、洗濯機もひととおり普及を完了し、人も企業も次なるステップ
を旺盛に模索していた頃なのであろう。
当時増えつつあった‘洋間’リビングにこれみよがしに鎮座していた家具調オーディオステレオセットを思い出す。
‘コンソールステレオセット’と呼ばれるものだ。 スタイリッシュなものや使い易さ、経済性が求められる現在と
違い先ずは家庭の財産であり、豪華さや堅牢さが重視された上昇志向の強い時代の象徴のようにも思える。
(モノを大事に永く使う文化の堅実な国ではまだ一部に残っているようだ)

もっとも家具調ステレオセットなどというものは、さほど拘りの強くない一般家庭向けとして売られたものであり
マニア向けにはその後の機器の礎となる単体のスピーカーやアンプ、デッキの類がリリースされていった事は想像
に難くない。当時の録音媒体の主力であった「テープ」ひとつとっても「オープンリール38cm」「8トラックカ
セット」「コンパクトカセット」「Lカセット」など夢と野望と試行錯誤が入り乱れた時代でもあった。

ともあれ流行というものはいつか去るものでステレオセットもある程度の普及を終える頃、最初のブームも一旦息
をひそめる形となった。

次の波が寄せたのはその数年後1970年も半ばを越そうかという頃からではなかったかと思う。モノが世間に流行
るのにはとにかく人々の意識に残り、興味を持たせなければならない。今回のアイテムは「ラジカセ」、前回が
「家庭としてのステイタス」であったなら その間逆のコンセプト「個人のツール」であった。既に核家族化が進み
つつあった時代には当然の成り行きだったのかも知れない。この10年後には車も一人に一台の時代がやってくる。

CF-1980 商品名「スタジオ1980」初めてこれを見た時はまだ小学5年生位であったろうか、とにかくその大きさに
驚いた。後年、基本的な造りは極めて真面目にまた意欲的に作られた物と聞いたが、先ずはその威容とスタイルの
良さに大きなインパクトを与えられた事に間違いは無い。「スタジオ1980」は SONYの思惑を超え大ヒット商品と
なり後発の「ラジカセ」に与えた影響は計り知れなかった。

同時にこの頃、単体の「ラジオ」も商品として新たな局面を迎えていた。昭和の始まりから戦前戦後を通して国民
の伴侶として育ってきた「ラジオ」もトランジスターとなりポケットサイズとなり普及に普及を重ねもはや過去の
ものとなりつつあったこの頃、今でも忘れないTVCM が有った。ダークアウトした画面におぼろげに映し出される
バイクの走行シーン、現代ではダサいとか言われるかも知れないが力強く歯切れの良いエキゾーストノート、宣伝
コピーも殆ど無く語られる商品名は 「東芝 サウンド750(ナナハン)」

この商品が先駆けだったか後続だったのかは知らない。しかしこの頃から「同社 TRY-X」「ナショナル クーガー」
「SANYO パルサー、レシーバ」そして「SONY スカイセンサー」とスタイリッシュで高機能なラジオが続々と
発表されてゆく。そしてそれは後に「BCL戦争」と呼ばれる熱病のような時へと突入して行った。

「ラジオ」はもう一花、 そう、夏の夜空の花火のような最後の大輪の一花を咲かせるのである。

投稿者: ROCKZOU

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